正しいPMI講座

M&A後の人材流出を防ぐには

2021/05/01正しいPMI講座

M&Aの現状

M&Aは「Mergers and Acquisitions」(合併と買収)の略で、その名の通り資本の移動を伴う企業の合併と買収を意味する言葉です。

ここ数年、中小企業のM&Aは増加傾向にあります。コロナ禍によって緊急事態宣言が出された2020年の4月から5月にかけてはM&Aの取引が一時的に中断、延期という事態もありました。

しかしその後は取引の件数も着実に回復してきているというのが現状です。さまざまな業種において、組織の再編、業界の再編が加速していく傾向があるため、今後さらに中小企業のM&A件数が増加していくことが予想されます。

例えば、約70歳が平均的な引退年齢と言われている中小企業の経営者。さらに東京商工リサーチによれば、2019年における全国社長の年齢調査では、社長の平均年齢は59.9歳となっています。このような時代に、事業継承問題は多くの企業にとって課題となりつつあります。

今後は上記の例も含めた多くの課題解決に向けて、M&Aが必須の時代になるでしょう。
しかし、今M&Aを機に「人材流出」という新たな課題が生まれています。今回は人材流出に焦点を当てて解説をしていきます。

なぜ人材流出が起きるのか

大きく分けて3つの理由があり、それぞれ解説していきます。

待遇や環境の変化

勤務地が買い手側のオフィスに変わることが多く、売り手側の従業員にとってはその環境の変化がストレスになる恐れが高いです。慣れ親しんでいた働きやすいオフィスを離れることだけでなく、新しく覚える業務が増えたり、同僚や上司が変わることは非常に精神的負担が大きいものです。

またM&A後に、給与が下がってしまうと、従業員のモチベーションも著しく下がります。生活に対する影響への懸念や、退職金が減ることへの懸念からより給与や環境の良い企業を探して、転職を考える従業員も増える恐れも。

環境や給与の面だけでなく、役職が変わることに対する不満も社員の流出につながりやすい要素だと考えられます。もともと能力が高く、周りのメンバーへの影響力がある従業員を役職から外してしまうと、企業全体の生産性が下がるケースも多くあります。

企業文化の違い

企業文化の違いは特に従業員にとって、大きなプレッシャーやストレスを与えてしまう要素です。従来であれば成果主義の組織で仕事がしやすい従業員にとっては、いきなり年功序列に配属されてしまうなどのケースになると、慣れるまで時間も負担もかかります。

また、日本の企業が海外の企業に売却された場合は海外の文化や、日本語以外の言葉でコミュニケーションが必要になります。馴染むまでに相当な労力を要しますし、わざわざそこまでして今の企業に居たくないと感じてしまうこともあります。

特にリーダーシップスタイルが変わってしまう場合は、これに反対する優秀な従業員の流出が注意です。優秀な人材の流出は、知的資本であったり顧客関係を失ったりすることになるので合併による価値を損なうことに繋がりかねません。

従業員への説明不足

前述の「待遇や環境の変化」や「企業文化の違い」の項目にも当てはまりますが、多くは従業員とのコミュニケーションがしっかりと取れていないことが流出の原因となります。

会社が売却されると知れば、従業員は今後の勤務内容や待遇に不安を覚えるのは自然です。彼らのモチベーションをしっかりと維持しつつ不安をなくすためには、売却後のプランを明確に、かつ魅力的に伝えることが重要です。

職務や部署が変更するなどの人事異動がある場合も、決まった段階で早急に伝えるべきです。給与・手当・福利厚生についても明確に伝えましょう。

ただし、伝えるタイミングと言葉の選び方は非常に重要であり難しい部分です。
M&Aの専門家としっかりと相談することを推奨します。

人材流出を防ぐには

では、どのようにして人材流出を防げばいいのでしょうか。

本来であればとどまってほしい有望な若手社員や、影響力のあるリーダーが将来への希望を見失わないためにも、考えうるM&Aの課題にしっかりと向き合い、適切な対応が不可欠となります。

組織文化を尊重する

会社を売却したとしても、買い手側の企業が自社の文化や風潮を一方的に押し付けることは好ましくありません。企業によって考え方や仕事の進め方というのはどうしても異なる部分があります。

この課題を解消するためには、まずお互いの組織文化をよく理解する必要があります。従業員の持つ裁量の範囲や重要事柄の決め方など、売り手側の社風をしっかりと尊重しつつ新しい組織文化を作り上げていけるのが望ましい姿です。

ここで難しいのは、社風や文化が真逆の場合です。根本的な部分から異なる部分が多いと、お互いを受け入れるまでにかなりの時間がかかります。

コミュニケーションの強化

ここまでのお話でわかるように、社員のモチベーションを下げないためにも、会社売却後も売却前と同じか、より魅力的な労働環境を約束することが大切です。オフィスの移転があれば、従業員の引っ越しが必要ない範囲に留める・勤務時間の変更はしないなど。

例えば、買い手側でサービス残業の習慣が残っていれば、残業を減らすような働きかけや、有給休暇が残っていれば引き継いで使用できるようにするなど、売り手側の従業員にも働きやすい環境を整える努力が大切です。

M&A実行後は対象企業の従業員は多くの不安とストレスを抱えています。買収側は大きな効果を短期的に求めがちですが、M&Aを成功させている企業ほど、人材の重要さを認識しています。そのため、信頼関係構築のための対話に十分な時間と労力を投じています。

M&Aの目的の明確化

ここまでさまざまな課題を挙げてきましたが、共通して言えるのは従業員が感じる「不安」
です。特に事業の方向性や社風の違いこそ、従業員が不安を感じやすい重要なポイントです。

また、2025年までに、約127万社が後継者不在になるとされています。経営者が70歳以上の事業体のうち法人の31%、個人事業者の65%が廃業に追い込まれる可能性があります。そのような多くの中小企業が抱える後継者不在の問題の解決として、M&Aは評価されてきています。

なぜM&Aを行う必要があるのか、行うことでどうなるのか。後継者不足による、事業のノウハウや技術を失わないため、従業員の雇用を守るためなどもそうです。ですがM&Aによって自社の強みを伸ばすことで事業の拡大や新規事業への可能性など、前向きな展望を提示することで良い方向へ進むイメージを持ってもらうことがより重要です。

PMI総研でできること

M&Aを成功させるためには、適切な対応ができるM&Aアドバイザーの存在が必要です。

売却額は売却したい事業であったり、部署が所有する利益・資産などを元に計算したりする必要があるので、的確な計算をすることができる客観的な立場の専門家が不可欠です。

従業員のやりがいや待遇を上げる条件の企業を探すことができれば、今回の人材流出等の失敗を回避してM&Aを成功することができます。売却をすすめる際などの実務面でも、的確なアドバイスをすることができるので相手との交渉や契約内容なども相談できます。

最後にPMI総研の行うサービスから一例をご紹介します。

コミュニケーションレター

納品: 手紙(印刷物での納品)

納期:2か月(ヒアリングから納品まで)

内容:M&Aは発表まで秘密裏に進められるため、M&Aを発表すると、売り手側従業員はどうしても不安な気持ちになるものです。しかし事業を推進するのはこの従業員たち。
彼らの不安を減らし、明るい未来を感じさせる対策がPMIの第一歩です。

当社は買い手側企業の代表者(場合によっては売り手側企業の代表者も連名で)から売り手側企業の従業員に向け、M&Aの目的・今後への展望を伝える「心を込めた手紙」を渡すことを推奨しており、この執筆代行と印刷までを提供します。

PMI総研のサービス紹介はこちら