正しいPMI講座

M&Aの一般的な流れや進め方を解説!検討〜クロージング・PMIまで

2021/05/21正しいPMI講座

M&Aとは、合併と買収(Mergers and Acquisitions)の略。近年M&Aを行う企業が増えていますが、「M&Aについての知識を改めて整理したい」「知識を深めたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、M&Aの一般的な流れや進め方を解説していきます。記事の後半では、M&A後のPMI(経営統合)を成功に導くためのコツも紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

M&Aの一般的流れ

高齢化やコロナの影響で、中小企業における事業継承を目的とするM&Aが増加しています。せっかく、「M&Aを行いたい」と思い立っても、フローや流れを知らなくてはいけません。

M&Aにおける価格は、買い手と売り手の交渉によって決まります。買い手側は「よりお得に買いたい」、売り手側は「より高く売りたい」といった思惑があるため、この交渉の場はM&Aにおいて最も重要な局面といっても過言ではありません。

また、M&Aはさまざまな知識が必要になってくる取引。スムーズに遂行するために、M&Aに関する専門家であるM&Aアドバイザーと契約し、サポートしてもらうケースが多くなっています。

それでは、M&Aの流れと内容について具体的に見ていきましょう。

M&Aの流れ1:【準備段階】

M&Aを検討しはじめたら、まずは目的の明確化から開始しましょう。具体的に考えていくことで、頭が整理されスムーズに進められるはず。この準備段階で、売り手・買い手共に発生する流れは以下の通りです。

① M&Aの目的の明確化(売り手・買い手)
② M&Aアドバイザーを選定(売り手・買い手)
③ 秘密保持契約・連携仲介契約の締結(売り手・買い手)
④ M&Aスキームの作成(売り手・買い手)

(1)M&Aの目的の明確化(売り手・買い手)

売り手の場合は、高齢化による事業継承などが主な目的でしょう。

M&Aで会社や事業を買収しようと考えている買い手の方は、「なぜその会社を買収するのか」をはっきりさせておく必要があります。M&Aの目的が明確化されていないと、買収したメリットやうまみが感じられない結果になってしまったり、かえってリスクを負ったりする可能性があるからです。

買い手側がM&Aを行う目的としてあげられるのは、「事業拡大」「技術の獲得」「人材の確保」「イノベーションの促進」など。M&Aを行うことによって、どのようなメリットが生じるのか、事業を拡大していく上で必要になってくるものや目的は何なのかをしっかり考えましょう。

目的が明確になったら、いつまでにM&Aを完了させたいか大まかで構わないのでスケジュールを引いてみることをお勧めします。
M&Aを検討している企業同士であっても「早急に完了させないと困る」「自社にとって最も条件の良い相手をじっくり吟味したい」など、スピードを重視するのか、条件面を重視するのか、交渉での優先事項が異なるケースは往々にしてあります。これはこの後説明するM&Aアドバイザーの選定にも関わってきます。

したがって、M&Aを成功させるためには双方の目的が合致しているかだけでなく、交渉のスピード感も一致しているかどうかを意識することも必要になります。

(2)M&Aアドバイザーを選定(売り手・買い手)

目的とスケジュールが定まったら、M&Aアドバイザーの選定に移ります。M&Aを成功させるには、相手企業と出会わなくてはなりません。とはいえ、目的に合った企業を探すのは至難の業。せっかく見つけても、交渉が上手く進まないケースも考えられます。

そのため、その道のプロであるM&A仲介会社やアドバイザーに依頼するのがスムーズです。

1990年頃まではM&A業界は大手銀行や証券会社が主役でした。しかし、近年では中小企業の事業継承が進み、M&Aが一般的に。その結果、買い手と売り手をつなげるM&A 仲介会社が増加しているのです。

目的にあった仲介会社やアドバイザーを選び、スムーズな取引を目指しましょう。

(3)秘密保持契約・連携仲介契約の締結(売り手・買い手)

続いて、秘密保持契約および仲介会社との契約を締結します。

M&Aは企業の重要情報を提示し合うものですので、情報漏洩には細心の注意を払わなくてはなりません。また、いらない情報が漏れてしまうと、従業員や取引先に不安や不信感を与えてしまうことも。そのようなリスクを冒さないためにも、秘密保持契約の締結は必須事項です。

(4)M&Aスキームの作成(売り手・買い手)

M&Aスキームとは、M&Aの流れや進め方を示した計画表のようなもの。スピーディーかつ確実な取引を目指すため必要になります。

M&Aアドバイザーと相談しながら、最初に明確化した目的に沿ってスキームを作成していきましょう。

2:【企業分析〜交渉】

M&Aアドバイザーが決まりスキームも作成したら、M&Aの提案先を選定し、企業分析を行います。

① M&Aの提案先を選定(売り手・買い手)
② ノンネームシートの提供・検討(売り手・買い手)
③ ネームクリア(売り手)

(1)M&Aの提案先を選定(売り手・買い手)

M&Aを提案する企業を選定します。具体的な業務は、準備段階で定めた目的やねらいを元にM&A仲介会社が条件にあった候補を選定していきます。

会社情報や株価、事業内容などをベースに選定が進められます。

(2)ノンネームシートの提供と検討(売り手・買い手)

選定が済んだら、いよいよM&Aの提案を行うフェーズに。その際必要になってくるのが、ノンネームシートです。ノンネームシートとは、秘密保持契約を結ぶ前の取引候補先に対し、会社名が特定されない「匿名」で企業情報をまとめた資料のこと。

売り手側がノンネームシートを作成し、買い手側が情報を元に検討していきます。

(3)ネームクリア(売り手)

次に、ネームクリアに移ります。このネームクリアとは、ノンネームシートでは隠されていた詳細を明かすことを指します。より細かく企業の特長や強みをアピールできるため、交渉がより具体的に進みはじめます。

買い手側は、より詳細となった資料を元にM&Aを進めるかどうか決めます。

3:【交渉〜最終契約】

買い手・売り手ともに、M&Aの実行を決めたら、ついに本格的な交渉がはじまります。この交渉が、M&Aにおける「肝」ともいえる部分。具体的な流れは以下の通りです。

① トップ面談(売り手・買い手)
② 価格・条件交渉(売り手・買い手)
③ 基本合意書の締結(売り手・買い手)
④ デューデリジェンス(買い手)
⑤ 最終契約書の締結およびクロージング(売り手・買い手)

(1)トップ面談(売り手・買い手)

ネームクリアで大体の情報がわかっても、まだまだ不確定要素があるもの。不安を取り除くために、売り手と買い手のトップ(経営者)が顔を合わせる場が、このトップ面談です。
これまでは主に経営数字を軸に検討してきたが、それぞれの会社の創業の想いや歴史など、トップ同士が思いを重ね合わせることができるかどうかは重要です。条件面では成功しそうだったのに、トップ面談で違和感があればこれまでの調整は無に帰することもしばしばです。
M&Aは双方が納得して、はじめて進む取引。後悔を残さないためにも、疑問点や懸念点をきちんと話し合いましょう。よりスムーズな取引を行うには、互いの価値観をすり合わせることが重要です。

(2)価格・条件交渉(売り手・買い手)

いよいよ本格的な交渉がスタート。先述したように、M&Aは企業間の交渉で価格が決まります。相場や適正価格が必ず当てはまるわけではないため、損しないためには正しい知識が必要になってきます。

特に売り手の場合は、はじめてのM&Aとなるケースがほとんど。知識がないと提示された価格が安いのかどうか判断がつきません。また、買い手にとっても、価格交渉は一筋縄ではいかない大変なもの。間に仲介会社やアドバイザーを置くことで、より円滑に交渉を進められるでしょう。

交渉の場では、企業価値の算出も重要なポイントに。DCF法(割引現在価値法)やマルチプル法(類似会社比較法)、年買式といった方法で企業価値を算出していきます。この算出方法は、企業や状況によって適したものがあるので、専門家にお任せしてしまうとスムーズです。

(3)基本合意書の締結(売り手・買い手)

売り手と買い手の希望条件が大体一致したら、基本合意書の締結を行います。

取り決める項目は、買収方法や価格、交渉期間や締結時期など。秘密保持契約や、独占的にM&A交渉を行える独占交渉権を用いるケースもあります。

(4)デューデリジェンス(買い手)

デューデリジェンスとは、対象の企業に対する詳細調査を行うこと。英語だと「Due Diligence」と表記され、「Due」は義務、「Diligence」は努力という意味です。「DD」と略されることもよくあります。

その調査内容は多岐に渡り、財務や法務、人事など事細かに調査していきます。買収後のリスクを回避するためにも、とても重要な工程です。

(5)最終契約書の締結およびクロージング

デューデリジェンスが落ち着いたら、ついに最終契約およびクロージングです。これまでの交渉や調査で得た情報を元に、M&Aを実施するかどうか最終ジャッジを下します。

双方の合意があれば、最終交渉で定めた内容に沿って、契約締結の手続きを進めていきます。この時、会社の引き渡しや買収に関わる費用の支払いも行いますが、この手続きがクロージングと呼ばれているものです。中小企業の場合は、契約締結と同時にクロージングを行うケースが多いですが、大企業の場合は期間が空いてしまうことも。どのくらい時間がかかるのかはあらかじめ確認しておくと良いでしょう。

M&A成功の鍵!PMIのご相談ならPMI総研へ

Post-Merger Integrationの略であるPMIは、M&A後の経営統合を指し、買収後の事業拡大において重要なもの。PMIを進めるには、売り手側企業の従業員の理解を得て、モチベーション向上に努める必要があります。

弊社では、PMIを成功に導いた事例や失敗事例などを解説する「PMIセミナー=PMIに成功している企業は何をやっているのか?」や、従業員の不安を解消する「コミュニケーションレター」など、経営統合をスムーズに進めるためのサービスを提供しています。

PMIのスペシャリストである私たちに、ぜひご相談ください。