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M&Aアドバイザーとは?仕事内容やアドバイザーの選び方を解説します

2021/06/02正しいPMI講座

コロナ禍で益々重要視されている事業承継。後継者がいて、親族内承継や内部承継ができればスムーズに進められるかもしれませんが、めぼしい後継者がいない場合はM&Aを検討しなくてはなりません。

M&Aを成功させるためには、幅広い知識や経験が必要不可欠。そんな時に心強いのが専門家であるM&Aアドバイザーの知見です。とはいえ、「M&Aアドバイザーってそもそもどんな仕事?」「良いアドバイザーの選び方は?」といった疑問を抱える方も多いでしょう。

この記事では、M&Aアドバイザーについて解説するとともに、良いアドバイザーの選び方や、費用の目安などを解説します。「M&Aを成功させたい」「専門家に相談したい」と考えている方必見です。

M&Aアドバイザーとは?

M&Aアドバイザーとは、M &Aによって起こる買収・売却などをはじめとするさまざまな手続きをサポートする専門家のこと。「M&Aコンサルタント」や「ファイナンシャルアドバイザー(FA)」とも呼ばれています。

M&Aは、売り手と買い手の交渉によって売却価格が決まります。買い手は過去にM&Aを複数回経験しているケースが多いですが、売り手側は大半が「初めての経験」になるでしょう。その結果、安価に買い叩かれてしまう可能性も否定できません。売り手側に十分な知識があれば対処できるかもしれませんが、価格が高いのか安いのかの判断はなかなか難しいもの。

また、M&Aを進める上では、財務や法務、労務など幅広い専門知識が必要です。価格交渉や手続きをはじめとする幅広い業務に関わり、交渉を円滑に進めるサポートを行うのが、M&Aアドバイザーの仕事です。

ちなみに、M&Aアドバイザーを大きく分けると「仲介会社(買い手企業と売り手企業のマッチングに重きを置く)」と「FA(企業の立場で交渉をする)」の2つに分類できます。

世界的には企業の交渉役としてFAが付き、M&Aを検討している相手先企業付けのアドバイザーと交渉を行う形式が主流です。しかし日本では、売り手と買い手両方とアドバイザリー契約を結び、マッチングさせる仲介会社が存在しています。これはM&A市場が成熟している欧米などでは、なかなか見られないビジネスモデルです。

1990年ごろまでの日本のM&A市場は、大手銀行や証券会社、あるいは税理士・会計事務所が企業同士の間を取り持つケースが主流でした。次第に中小企業のM&Aニーズが高まったこともあり、買いたい企業と売りたい企業の両方を取り持ちサポートするM&Aアドバイザーが生まれていったのです。

また、近年ではM&Aマッチングサイトも急増しています。マッチングサイトは、売り手側企業名は匿名で、事業内容や収益などが掲載されている形が主流。個人や買い手企業がWeb上で希望条件に沿って検索し、双方が合意すれば実名での交渉に移っていきます。手数料も下がっているマッチングサイトですが、カスタマサーサクセス部門の担当者が利用者に対して個別にフォローする体制になっています。

このようにM&A市場には、M&Aアドバイザーを主軸に、マッチングサイトなど、M&Aをサポートするサービスや仕組みが存在しているのです。

M&Aアドバイザーが必要とされる理由

M&Aアドバイザーが必要とされている理由は、複雑な取引を円滑に進めるための専門知識を有しているから。

また、M &Aアドバイザーは買い手候補の選定から、条件交渉、デューデリジェンス(対象企業に対する詳細調査)、クロージングに至るまで手厚くサポートしてくれます。M &Aは、多くの方にとって初めての機会となるもの。専門家であるアドバイザーの知識や経験に頼ることで、より円滑に取引を進められるのです。

M&Aアドバイザーの仕事内容

それでは、M &Aアドバイザーの仕事内容を詳しく見ていきましょう。

アドバイザーの業務は、大きく以下の5つに分けられます。

① 候補の選定
② 企業価値評価
③ 条件交渉のサポート
④ クロージング

1:候補の選定

まずは、M &Aを成功に導くための戦略を立案し、全体のスケジュールなどを決めていきます。その上で、買い手候補の選定や、打診・調整や秘密保持契約を進めていきます。

近年では地方企業や中小企業によるM&Aニーズが高まっているため、売り手と買い手を上手に引き合わせる必要があります。このような調整や、候補選定がM &Aアドバイザーの最初の業務です。

2:企業価値評価

企業の持つ価値を算出する業務です。M&Aでは、ここで算出された企業価値(バリエーション)をベースに金額交渉を進めていきます。価格は、M&Aを進める上で最も重要な部分ですから、専門家であるアドバイザーの知見が大いに活かされる部分です。

企業価値を算出する方法は、3つあります。 1つ目は、DCF法(割引現在価値法)です。事業計画を作成し、将来的に生み出す利益、つまり「将来価値」を現在に当てはめ、「将来得られる収益をプラスしたものが企業の価値」と考えます。

2つ目は、マルチプル法(類似会社比較法)。類似している上場企業の時価総額と比較して算出する方法です。こちらもDCF法同様に事業は継続していくものとして「将来価値」まで反映しています。

3つ目は、年買式です。こちらは、企業の純資産に3年分の営業利益をプラスして算出する方法で、「将来価値」を想定していない点が特徴です。

どの方法が高い価格になるかは、企業によってさまざま。どの方式で算出していくのかを検討することも大切です。また、買い手にとって説得力のある立論を組んでいく必要があるため、細やかな部分まで整理することが求められます。まさにアドバイザーの腕の見せ所です。

3:条件交渉のサポート

企業選定が済んだら、面談や条件交渉のサポートに移ります。金額面やスケジュール感、授業員についての事柄など具体的な項目を話し合っていきます。

双方が満足する取引を行えるように、間に入りサポートをするのがアドバイザーの仕事です。

4:クロージングのサポート

合意が済んだら、いよいよクロージングです。M&Aにおけるクロージングとは、株式譲渡や譲渡代金の支払いなど各種手続きを行う場を指します。クロージングを完了すると、経営権の移行が完了します。

M&Aを成功に導くために、必要不可欠な部分です。統合プランを考える部分からマニュアル整備など、アドバイザーがサポートして進めていきます。

アドバイザーの契約種類

M&Aアドバイザーの仕事内容は、契約の種類によっても異なります。それぞれ見ていきましょう。

アドバイザリー形式

アドバイザリー形式とは、売り手・買い手それぞれにM&Aアドバイザーが付いてサポートする形のこと。自社が有利になるよう進めてくれる点が最大のメリットです。

買い手側のアドバイザーは価格をより安く、売り手側のアドバイザーは価格をより高くするために動くので、交渉が長引く可能性も考えられます。

仲介形式

仲介形式とは、買い手がわと売り手側の間に、仲介役としてアドバイザーが入る形です。そのため交渉はスムーズに進みますが、両者の意見を取り持ち進んでいくので、場合によっては条件が不利になってしまうケースも考えられます。

M&Aアドバイザーの選び方

M&Aアドバイザーに依頼したいと思い立っても、「どこに依頼したら良いのか」、「アドバイザーをどう選んだらいいのか」などの課題があるでしょう。

担当するM &Aアドバイザーの経歴や担当してきた案件などによって、能力は変わってきます。また、交渉の場に立つアドバイザーは、コミュニケーション能力も必要不可欠。

そのため、M&Aアドバイザーを選ぶ際には以下の項目をチェックしましょう。

① M&Aに関する実績が豊富か
② 対応が丁寧か
③ 専門分野があるか
④ 担当者との相性

1:M &Aに関する実績の豊富さ

実績が豊富かどうかは最重視するべきポイントです。先述した通り、M&Aをスムーズに進めるためには、幅広い知識・経験が必要不可欠。

M&Aは会社の規模や業種によって対応が変わってくるものですから、豊富な実績を持つアドバイザーの方が経験もあり頼りになります。実際の取引では、さまざまな局面での対応力が求められます。状況に応じて柔軟な対応を取れるような、経験豊富なアドバイザーを選びましょう。

また、昨今はM&A市場が活況だからと新規参入してくる会社が増えてきたことで、M&Aがらみのトラブルも増加しています。費用の高い安いだけを見てアドバイザーを選ぶのではなく、「過去の実績がしっかりあるアドバイザーかどうか」を確認するのが重要です。

2:対応が丁寧か

多くの方にとってははじめてとなるM&Aは、なるべく不安を解消したいもの。丁寧で誠実な対応をしてくれるアドバイザーであれば、細やかな事柄もサポートしてくれるでしょう。不安を取り除き、スムーズな取引を遂行していくためには、対応が丁寧で誠実なアドバイザーを探す必要があります。

3:専門分野があるか

業種や会社の規模によって、M&Aの対応は異なります。アドバイザーの経歴や保有資格によって得意分野が変わってくるので、チェックしておきたいポイントです。

実際に、エンターテイメント、製造業、ITに関する知識が豊富など、専門性の高いアドバイザーがいますので、自社に合った知識や資格を有しているM&Aアドバイザーを選びましょう。

4:担当者との相性

M&Aが進む間、長期にわたって密に関わるため、アドバイザーとの相性も重視するべきポイントです。また、交渉の場ではコミュニケーション能力も必要不可欠。そのため、相性が良く、信頼関係を築けるアドバイザーがベストです。

費用について

M&Aアドバイザーに支払う費用(報酬)は、会社やアドバイザーによって異なります。着手金として一括・もしくは一定額を月ごとに支払うケースや、売価金額に応じて成功報酬を支払うケースが一般的。

仲介会社を通すと、その分手数料が高くなってしまいます。とはいえ、高い金額を支払ったから必ず安心できるものではありません。金額を支払ったからと安心し切らないよう注意しましょう。

ちなみに、成功報酬は、呼ばれる取引金額に応じて報酬料率が変わる「レーマン方式」を用いるケースが多くなっています。

良いM&Aアドバイザーとは?

実績がありM&Aを円滑に進めてくれる人こそ、良いアドバイザーといえます。しかし、優秀なアドバイザーであっても、相性が悪く信頼できなければ意味がありません。

会計・税務・法律などの知識が豊富で、かつ専門分野も持っているアドバイザーを選ぶようにしましょう。その上で、信頼関係を築いていけるような相性の良い担当者であればベストです。大手ではフロントの担当者がいて、本部に各分野の専門スタッフがいるような分業制まで取っているため、会社側の体制を質問してみるのも選定の上で重要です。

「M&Aの成功=PMIの成功」といわれるほど、M&AにおいてPMI(事業統合)は重要視されています。PMIは手続きを進めるだけでなく、従業員のモチベーションを保ったり、働きやすい環境づくりを進めたりすることが必要不可欠。とはいえ、M&Aアドバイザーは企業統合作業の本格的なサポートは行えないのが現実です。

PMIのサポート役がいないことが、現在のM&Aにおける大きな課題といえるでしょう。

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