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後継者がいないと廃業?事業継承?後継者不在問題を抱える方へのご提案

2021/06/25正しいPMI講座

少子高齢化が進む現在、「そろそろ引退を考えているが、後を任せられる後継者がいない」といった不安を持つ方も多いのではないでしょうか?実際、後継者不在問題を抱える中小企業は増えてきているんです。

そこで今回の記事は、現状後継者がいない中小企業の経営者の方に向けてお届け。昨今の情勢を解説するとともに、後継者がいない会社の選択肢について紹介していきます。ぜひご覧ください。

1.昨今の中小企業事情 迫り来る2025年問題

2025年問題とは、第一次ベビーブームで生まれたいわゆる団塊の世代が75歳以上となり、日本が「超高齢化社会」に突入することで生じるさまざまな問題のこと。これまでは高齢化進展の「速さ」が問題でしたが、近年は高齢化率の「高さ」が問題になってきています。

超高齢化社会に突入することで生じる問題として挙げられるのが、医療費や介護費の増大と、それに伴う現役世代の負担増です。

それにとどまらず、2025年問題は中小企業にも深刻な影響を及ぼします。その中でも「後継者不在問題」と「人手不足」は、避けられない課題でしょう。

特に後継者不在問題は、会社の存廃を左右しかねない重大な問題です。中小企業庁が発表したデータ(平成28年度総務省「個人企業経済調査」、平成28年度 (株)帝国データバンクの企業概要ファイルから推計)によると、70歳未満の中小企業経営者は約136万人に対し、2025年までに70歳(平均引退年齢)を超える中小企業の経営者は約245万人。そのうち、約半数の127万人は後継者未定とされています。
出典:中小企業庁「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」

後継者がいない影響で、黒字にも関わらず休廃業や解散に追い込まれる企業は6割超という結果に。経済産業省と中小企業庁の試算によると、このまま事業継承問題を解決できなければ、2025年まで約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性もあるのだとか。

また、2020年から以前続く新型コロナウイルスの影響も大きく、2025年問題が前倒しになったといっても過言ではありません。

後継者がいない場合に考えられる状況は以下の通りです。
・親族や子どもがいない
・経営者として任せられる人材が社内にいない

目の前に迫った2025年問題に向け、このような後継者がいない中小企業経営者の方が取る選択肢はどのようなものが考えられるのでしょうか?

 

2.後継者がいない会社の選択肢

経営者が後継者問題に直面した際に、検討できる手段は大きく分けて3つあります。それは、「廃業」と「事業継承」そして「M&A」です。

それでは具体的にどのような違いがあるのでしょうか。それぞれ見ていきましょう。

後継者がいない企業の選択1:廃業

めぼしい後継者がいない企業は、廃業も検討しなくてはなりません。

廃業とはその名の通り、会社の経営を辞めること。地方の中小企業だと、廃業を選ぶケースも多くなっています。特に職人や親方など、ほぼ一人馬力で会社をやっている場合は廃業以外の選択肢はなかなか考えにくいのが現状です。

廃業するには複雑な手続きが必要。債務整理や清算結了など想像以上の手間がかかってしまいます。清算の結果によっては手元にお金が残る場合もありますが、廃業後も債務が残ってしまう場合もあるため、気をつけなくてはなりません。

しかしながら、廃業にはメリットもあります。後継者探しのストレスがないほか、計画的に手続きを進めていくことができます。とはいえ、従業員の雇用や取引先との関係など、考えなくてはいけないことは山積み。当然、責任も伴います。廃業以外の選択肢を検討してから決めた方が良いでしょう。

後継者がいない企業の選肢2:事業継承

後継者がいない企業の選択として2つ目に考えられるのが、事業継承です。後継者を探す事業継承は、文字通り、「事業を継承することで、会社経営を引き継いでもらう」方法です。

事業継承のパターンとして考えられるのは、以下の3つ。
・親族へ継承
・従業員へ継承
・社外から募集、招聘

親族へ継承

親族に継承するメリットとして挙げられるのは、素性を知った信頼のおける親族に任せられる点と、会社の経営権を手放さずに済む点です。

元々見知った間柄である親族であれば、理解や協力も得やすく、スムーズに進められるのではないでしょうか。また、会社の経営権を持っていられる点も大きなメリットに。オーナーとして関われるのは、親族に事業継承する大きな利点でしょう。

従業員へ継承

親族継承の次にご紹介するのが、従業員への事業継承です。会社で働いてくれていた従業員は、会社の社風や業務内容をはじめ、業界知識などに長けています。会社の勝手を知っている従業員に継承すれば、安心だと感じる方も多いでしょう。

ただ、従業員に継承する場合は、任せられる従業員が育つまでの時間を有します。長年働いてくれている従業員や、極めて優秀な従業員がいる場合は良いですが、そういった人材がいない場合は、難しいでしょう。また、親族継承とは異なり、オーナーとして関わるのは難しいケースも。

とはいえ、経験もあり業界知識も豊富な従業員は、後継者として適任。社内に目ぼしい人材がいれば、従業員への継承を検討してみてはいかがでしょうか。

社外から募集、招聘

親族や会社の中に目ぼしい人材がいない場合、社外から後継者を募集・招聘するやり方もあります。優秀な人材を見つけられた場合は、これまで以上の発展が見込めるかもしれません。

非常に理にかなったやり方ではありますが、社内から反発が起きることも考えられます。反発が起きた際にどのような解決方法を取るかを考えておく必要があるでしょう。

後継者がいない企業の選択3:M&A

後継者がいない企業の選択肢として、最近注目を集めているのがM&Aです。かつては大手企業が中心となって行ってきたM&Aですが、近年は後継者不在問題の影響もあって、M&Aを検討する中小企業は増加。今やM&Aが事業継承の主流となっているといっても過言ではありません。

M&Aは後継者を広く探すことができ、タイミングによっては好条件の譲渡も可能です。自社よりも規模の大きい会社に買収されることが大半のため、今まで以上の発展が見込めるほか、従業員の雇用の安定も期待できます。

後継者不足問題が解消されるほか、売却をすることで収益がある場合も。さらに、買い手側企業が事業を引き継いでくれるため、従業員の雇用問題も解決できます。

ただし、M&Aによる事業継承は、買い手企業と売り手企業の交渉によって進んでいきます。明確な基準のある親族内継承とは違うため、場合によっては安い値段で買い叩かれてしまう可能性も。そもそも知識がなければ、会社の価格の安い・高いがわからず、交渉を進められません。そのため、正しい知識を身につけておく必要があります。

M&Aを視野に入れるなら、豊富な知識・経験をもつ専門家や支援機関に相談するのがおすすめです。主な相談先について後ほど紹介しますので、気になる方はぜひチェックしてください。

 

3.「自分の会社は売れない」と思っていませんか?

「目ぼしい後継者がいないため、親族や従業員への事業継承は難しい…」「社外から招聘するのも現実的じゃない…」このようなお悩みを抱え、このままでは「廃業」を検討しなくていけないと考えている方は、少し待ってください。

もしかして「自分の会社は売れない」とはじめから思い込んでいませんか?

実は、M&Aをしている会社の約10%は、従業員数が5名以下。5名以上10名以下は約20%、さらに、売上高が1億円以下の会社も7.5%と比較的規模が小さい会社であってもM&Aを行っているんです。

「自分の会社は売れないから」と諦めてしまう前に、M&Aという選択肢もあるのだということを胸に留めておくことをおすすめします。

4.M&Aについて誰に相談したらいい?

M&Aについて知りたい、もしくは、M&Aを検討しはじめた際は、どうやって相談すれば良いのでしょうか?

M&Aに関する相談を受け付けている仲介会社やマッチングサイト、M&Aアドバイザーなどもありますが、最初の一歩としてはハードルが高いでしょう。しかし、M&Aを検討するには様々な知識が必要になります。

そのためにはまず、M&Aを行う意思決定が済んでから相談しはじめるのではなく、なるべく早い段階で相談するのが重要に。M&Aを行うのが一番良い形なのか、それとも他に手段があるのか、など総合的に判断していければベストです。

誤った判断をしないためにも、身近な支援期間に相談することをおすすめします。まずは一人で抱え込まず、身近な人に相談してみましょう。

【身近な支援機関の一例】
① 金融機関(付き合いのある地域銀行や信用金庫、信用組合など)
② 税理士(そのほか公認会計士や弁護士など)
③ 商工団体(商工会議所や商工会など)

税理士や銀行の方にM&Aの相談ができるの?と感じる方も少なくないはず。税理士や銀行の方は、M&Aについて相談されている件数も多い上、地元に根ざした人脈もあります。

そのため、普段から関わりのある金融機関や税理士などにまずは相談するのがおすすめです。また、金融機関によっては、M&A専門部署を持っている場合も!「専門家」から詳しく話を聞けるので、良い検討材料になるでしょう。

相談する際に必要な資料は、直近三年分の「決算書」「税務申告書」「勘定科目内訳明細書」の写しなど。さらに、事業内容がわかる会社案内などの資料もあれば、相談がスムーズです。

「M&Aは難しそうだし、小規模だから関係ない」と思わずに、まずは身近な支援機関で相談し、検討してみましょう。

 

この記事のまとめ

2025年問題をはじめとする中小企業が抱える問題や現状、後継者がいない経営者の方へ向けた選択肢などをご紹介しました。

この記事の内容をまとめると、以下の通りです。
・中小企業の「後継者不足」は深刻化。このままだと2025年まで約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われてしまう
・後継者がいない経営者が取れる選択肢は「①廃業」、「②事業継承(親族・従業員・招聘)」、「③M&A」の3つ
・従業員数5名以下、売上高1億円以下の企業でもM&Aを行っている
・廃業を選ぶ前に、まずは身近な支援機関(金融機関や税理士)に相談を!

廃業、事業継承、M&Aはそれぞれメリット・デメリットがあります。そのため自分の会社はどの選択肢が向いているのかを検討してから、総合的に判断しましょう。

特に、「規模が小さいから会社は売れないだろう」と考えている方は廃業を選択する前に、身近な支援機関にM&Aについて相談してみることをおすすめします。