正しいPMI講座

事業売却した際の社員・オーナーへの影響は?待遇はどうなる?気になる疑問にお答えします

2021/07/13正しいPMI講座

M&Aで会社を売却すると、今まで働いていた社員をはじめ、オーナー自身にどのような影響があるのでしょうか。「社員・従業員はこのまま働き続けることができるのか」「待遇はどうなるのか」など、疑問は尽きませんよね。

そこで今回は、買収された側の社員やオーナーへの影響や待遇面など、気になる疑問を解説していきます。記事の中では、売り手側企業が気にしておくべきポイントや対策方法なども紹介していきますので、M&Aを成功に導きたいオーナーの皆さまはぜひご覧ください。

1.会社の売却後に社員の雇用は継続されるのか

社員・従業員にとって気になるのが「今後も働き続けることはできるのか」「事業売却によって、待遇は良くなるのか、それとも悪くなるのか」という点でしょう。仕事を失ってしまう可能性や、今よりも給料が安くなったり、勤務地が変わってしまったりする可能性も考えられるため、まさに死活問題といえます。

中小企業において社員や従業員は家族のような存在ですから、オーナーにとっても「従業員がこの先どうなるのか」という点は心配ですよね。

さて、そんな気になる「会社の売却後に社員の雇用は継続されるのか」という点ですが、最終的には買い手側の意向で決まるものの、その後も働き続けられるのが一般的です。その理由として挙げられるのは、以下2つの項目です。

① 買い手側には人材確保を目的としている企業もある
② 契約時に雇用維持を条件としている

それぞれ詳しく見ていきましょう。

買い手側は人材確保を目的としている企業もある

さまざまな目的で実施されるM&Aですが、売り手側が有している専門分野のスキルやノウハウを得るために行うケースが大半です。そうなると、すでに専門的な知識や経験を有している社員及び従業員は、まさに即戦力とも呼べる貴重な人材。

そのため、優秀な人材を確保することを目的にしている企業も少なくありません。高度なスキルやノウハウを持っている社員・従業員は、雇用が継続されるほか、「スペシャリスト」として優遇されることも期待できるでしょう。

また、M&Aは買収したからといって必ず成功する訳ではなく、社員のモチベーション維持や関係構築など、働く人の動きによって結果が左右される側面があります。買収を成功に収めるためにも、優秀な人材の確保はたいへん重要です。

契約時に雇用維持を条件としている

社員や従業員の雇用継続が一般的な理由の2つ目は、「契約時に雇用維持を条件としている」という点です。会社の売却する契約を相手企業と交わす際に、社員・従業員の雇用維持を条件としておくことで、働いてくれている社員や従業員を不利な状況に陥らせない効果があります。

あらかじめこういった契約を結んでおけば、従業員や社員の雇用が継続されないリスクも回避できるので安心です。

2.事業売却後に社員がリストラされるケースは?

先述した通り、事業売却後は雇用継続が一般的。ですが中には、社員や従業員がリストラされるケースもあります。

社員・従業員がリストラされる要因として考えられるのは、「売り手側のオーナーが事前に雇用維持の契約を結んでいなかった」「専門知識がなく経験が浅い人材だった」等でしょう。

契約時に雇用維持を条件にしていれば、買い手側が社員をリストラすることは、まずありません。例え雇用維持を条件にしていない場合でも、専門知識を有した社員であれば即戦力として歓迎され、働き続けられるでしょう。

しかしながら、専門的なスキル・経験がない社員や、まだ経験が浅い社員の場合は、即座に活躍できる人材と比べるとリストラされる可能性があります。

3.売却後の社員の待遇はどうなる?

買い手企業は売り手側よりも規模が大きいことが一般的。規模の大きい企業の方が、給与水準が高かったり、福利厚生が充実していたりするケースがあるため、社員の待遇は変わらない、もしくは前よりも良くなる可能性が高いです。

特に、人材確保を目的としたM&Aの場合、専門的な知識や経験を持つスペシャリストといえる社員であれば、より高待遇での雇用が期待できるでしょう。また、中小企業のM&Aは株式譲渡や事業譲渡などで経営権を移す、つまり企業そのものを譲渡するケースが多いため、退職金も引き継がれるのが一般的です。

とはいえ、社員・従業員においては「待遇が良くなるから安心できる」というわけではありません。M&Aは売却時がゴールではなく、買い手側企業と社員・従業員が一致団結し同じ方向を向いて働き、結果を残していく必要があります。そのためには、社員・従業員の不安を取り除き、モチベーションを保ってあげることが何より重要です。

売り手側のオーナーの方も、社員・従業員とのコミュニケーションを密に取り、モチベーション維持を怠らないよう心がけましょう。

 

4.売却側のオーナーの待遇はどうなる?

M&Aが行われた後の売却先のオーナーは、「社長を退く」「そのまま社長として事業を続ける」などが考えられます。売り手側企業の代表者(代表取締役や社長)に買い手企業の幹部が就任した場合などは、前者が多いでしょう。

しかし買い手側がオーナー(社長)の手腕も活用したいケースでは、そのまま社長としての立場で事業を続けていく場合もあります。

事業売却後は、事業内容の理解にはじまり、社員の能力の把握や会社が抱える問題や現状などを細かくチェックし情報を得た上で、今後の事業計画を決めていく必要があります。同時に、従業員の不安を取り除き、モチベーションを保ってあげることも非常に重要です。

こういった経営統合(PMI)を円滑に進めていくため、全オーナー社長は、引き継ぎやサポートを目的に顧問もしくは相談役として一定の間、籍を残すケースが多いです。

株式譲渡は株式を売却する手続きであるため、株主であるオーナーは買い手企業から売却益を得られます。また、退職金代わりの「退職慰労金」が支払われる可能性もあります。

この辺りは買い手側企業の意向や、株主総会の決議にとって決まってくる部分なので、あらかじめ交渉しておくと良いでしょう。

 

5.社員への情報開示はどう行う?

M&Aはオーナーや経営陣など、売り手・買い手企業共に限られた人物のみで交渉を進めていきます。情報漏洩防ぐために機密保持契約を結ぶため、事業売却の事実を知っているのは極少数のみ。従業員をはじめ、取引先など第三者に情報開示することを「ディスクローズ」と言いますが、情報開示こそ細心の注意が必要です。

なぜなら、M&Aによる統合後に社員・従業員が離職してしまうケースが多いからです。「代表者が変わることで、風土や文化が崩れてしまう」「待遇が今より悪くなるのではないか」といった不安を抱え、会社を離れる決意をする社員もいるため、なるべく不安を取り除いてあげましょう。

社員流失を防ぐためにも雇用維持や待遇面での契約をM&Aの条件交渉時に設けておくことはもちろん、情報開示のタイミングやプロセスに注意することが非常に有効です。

【譲渡公開前に注意すること】

情報が中途半端な状態で漏れてしまうと、交渉自体が白紙になってしまうほか、従業員や取引先に余計な心配を与えてしまいます。そのため、以下の項目を意識しておきましょう。

・機密保持を徹底する
・目的を明確化し、計画を立てる
・情報開示の適切なタイミングを精査する
・目的に沿った譲渡先の選定
・社員や従業員の雇用継続など、詳しい条件の確認

【譲渡公開した後に注意すること】

譲渡を発表した後で、社員に不安を抱かせないためにも以下の項目に注意しましょう。

・譲渡理由の説明
・当面の仕事内容や待遇、勤務地などを説明する
・現職のオーナー社長(売り手側)も一定期間は引き継ぎやアドバイスするために籍を置くことを伝える
・新たなオーナーの元で働くことに関するメリットを伝える

6.社員流出への対策

M&Aは、売買が済んだからといって必ず結果が出る訳ではありません。現職のオーナーにとっても、会社のさらなる発展を望みたいはず。

より良い結果を残すためには、働いている人、特に売り手側企業の社員・従業員のモチベーションを保つことが大切ですが、統合後に不安・不満を感じ離職する道を選んでしまう社員は意外と多いもの。このような「社員流出」を食い止めることも、M&Aを成功に導くために必要な工程です。

そこで重要になってくるのは情報公開〜統合までの間に、コミュニケーションをしっかりと取っておくこと。大切なのは、社員を不安にさせないことです。そのためにも、「譲渡に至った理由」や「雇用条件や待遇などの適切な説明」、「新たなオーナーの元で働くメリット」などを伝えておきましょう。

 

まとめ

事業売却後の社員・従業員やオーナーへの影響や待遇、社員流出を抑えるために注意しておきたいポイントなどを紹介しました。M&Aを成功に導くには、人材の流出を抑えることや、モチベーションを維持してあげることが重要です。

そのためには、社員とコミュニケーションをしっかりと取り、不安を取り除いてあげることが必要不可欠。

「社員とコミュニケーションを取りたいが、適切な方法がわからない」「人材流出を抑えたい」こういった思いを抱えている方へ、PMI総研の行っているサービス「コミュニケーションレター」をご紹介します。

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納品:手紙(印刷物での納品)
納期:2か月(ヒアリングから納品まで)

【完成までの流れ】
① 従業員に伝える内容のヒアリング
② M&Aの背景や目的についてインタビュー
③ レター文案の提示と追加インタビュー
④ レターの校正・印刷・製本

一部の人物だけで秘密裏に進められていることもあり、M&Aの発表は社員・従業員に驚きと不安を与えてしまうもの。しかし、事業を推進していくのは社員に他なりません。彼らの不安を減らし、明るい未来を感じさせる対策がPMIの第一歩です。

当社は買い手側企業の代表者(場合によっては売り手側企業の代表者も連名で)から売り手側企業の従業員に向け、M&Aの目的・今後への展望を伝える「心を込めた手紙」を渡すことを推奨しており、この執筆代行と印刷までを提供します。

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