正しいPMI講座

100日間がカギを握る!?M&A成功を左右するPMI【100日プラン】とは

2021/08/18正しいPMI講座

M&Aがクロージングに至れば、買収した企業・事業を自社と統合させる「経営統合(PMI)」というプロセスに移行します。

PMI(Post Merger Integration)は、M&Aの成功を左右する非常に重要な工程。この統合作業は「案件がクローズしてから100日を目処に行う」ため、【100日プラン】という呼び方をされています。

聞き覚えがあっても、「100日プランとは具体的にどんなもの?」「100日プランで実行する項目は?」といった疑問を抱える方も多いのではないでしょうか。

そこで今回はM&Aを検討中の方や、M&Aを進めている方へ向けて、M&A成功の鍵を握るPMIおよび100日プランについて解説していきます。

 

1.PMIの「100日プラン」とは?

先ほどもお伝えした通り、案件クローズ後100日を目処に統合作業を行うことから「100日プラン」と呼ばれています。しかしこの100日プランは、企業規模によってとらえ方が変わるため、注意が必要なのです。

大企業と中小企業による100日プランの違いを、それぞれ見ていきましょう。

【大企業】100日プラン

大企業における100日プランは、「クロージング後3ヶ月(100日)で買収先の基本計画を策定すること」を指します。

この基本計画では、年度に残った期間の業績目標の見直しや、次年度の目標設定など中期間の計画を策定します。中期的な課題を洗い出して精査できるため、自社グループの経営改革を同時に行うケースも多くみられます。

【中小企業】100日プラン

一方、中小企業における100日プランは、「100日間の間で完了する短期アクション」を指します。

大企業に比べて小回りのきく中小企業であれば、統合における計画を立てて実行するところまでを、案件クローズ後100日で行うケースが一般的です。

 

2.100日プランで実行すべきPMIの主要項目とは

100日プランの概要がわかったかと思います。ここからは、いよいよ100日プランで実行すべきPMIの主要項目について解説していきます。


【100日プランで実行すべきPMIの主要項目】
1:経営方針の統合
2:社内制度の統合
3:営業体制・事業の統合
4:企業意識や文化の統合
5:内部管理体制(業務システム)の統合


1:経営方針の統合

異なる会社が一つになるM&Aにおいて、PMIは非常に重要な工程です。はじめに実行する項目として挙げられるのが、「経営方針の統合」です。

経営方針は会社の理念や戦略などを示した、会社のゆく先を見据えた航海図のようなもの。両者の企業理念や経営理念、営業戦略などをすり合わせて、社内外に発信していく必要があります。

2:社内制度の統合

続いては、「社内制度の統合」です。社内制度といってもその種類は多岐に渡り、労働する上での基本的なルールを定めた就業規則、ボーナスや昇格に影響を及ぼす評価制度や人事制度、報酬制度、退職金制度などがあります。

なかでも評価制度と人事制度、報酬制度と退職制度は、従業員のモチベーションを大きく左右するもの。従業員のモチベーション維持と人件費負担増のバランスを見ながら、取り組んでいく必要があります。

また、優秀な人材を育成・開発していくためには、研修制度の見直しも効果的です。制度は企業の特色が色濃く出る部分ですから、売り手企業側の従業員のモチベーションを鑑みつつ、企業のためになる効果的な制度づくりに努めましょう。

社内制度をあえて統合しないケースも

企業によっては、社内制度をあえて統合せず元のままにするケースも見られます。

例えば買い手企業が商社で売り手企業が工場の場合、給与をはじめとするさまざまな制度を統一してしまうと、コスト競争力を失ってしまう可能性も。「社内制度を統一するか、しないか」「統一するなら、どこまで統一するのか」など、バランスを見ながら企業ごとに選択していく必要があるでしょう。

 

3:営業体制・事業の統合

経営方針、制度ときたら、次は営業体制と業務システムの統合です。最もシナジー効果を生みやすい工程なので、細かくチェックしていく必要があります。

まず営業体制については、それぞれの取引先や顧客、仕入れ先などを活かした事業展開を立案していくことが効果的でしょう。同業種でM&Aを行なった場合は、取引先とさらに関係性を深めることが期待でき、他業種とのM&Aであれば、新規開発や事業拡大が叶うはず。

製造品やサービスの統合や取引先の見直し、販路や販売ノウハウの確認なども同時に行いましょう。

4:企業意識や文化の統合

中小企業、大企業関わらず、企業ごとに異なる企業意識や企業文化が存在していますよね。特に買収された側の従業員には、良い気持ちを抱いていなかったり、不安を抱えてしまったりするケースも。そうなると、良いパフォーマンスができないだけではなく、退職する道を選んでしまう可能性も考えられます。

どんなに計画やシステムを整えても、働いている人のモチベーションが下がっていれば、シナジー効果は生まれないでしょう。そのため、「企業意識や文化の統合」は最も重要な作業といっても過言ではありません。

売り手企業の従業員に、M&Aの目的と未来を共感・納得してもらい、すべての従業員が新たな目標・目的に向かって協力し合える関係を築いていきましょう。

5:内部管理体制(業務システム)の統合

「内部管理体制(業務システム)の統合」も行わなくてはなりません。ここでの統合は、管理方針や業務で使用するITシステムなどを指し、主に総務や人事経理などコーポレート部門の重複や業務範囲を見直します。

こちらも、2つ目で触れた「社内制度の統合」と同様、企業によっては「内部管理体・業務システムをあえて統合しない」という選択をとるケースもあります。

企業によっては、大きなコスト削減効果を期待できる統合作業ですが、ITシステムを新たに導入したり、統合するためのアップデートを加えたりとなると、巨額の投資が必要となる場合も。そのため一度にすべてを統合せず、範囲や期間を考えながら進めていくと良いでしょう。

 

3.M&A成功の鍵はP M Iが握っている

よくM&Aのゴールは「買収が済んで、案件がクロージングしたとき」だと考えている方をお見受けします。確かに案件の終わりを示す手続きは「クロージング」で間違いありません。

しかし「M&Aを経て、シナジー効果を発揮したとき」こそが、本当の意味でのゴールなのです。良いシナジー効果を生むためには、経営統合のプロセスが非常に重要。だからこそ、M&Aの成功の鍵はPMIにあるのです。

そのためには、双方の企業理念や経営戦略などをすり合わせた経営方針を統合した上で、社内制度や営業体制、企業文化やシステムの統合などを慎重に行なっていきましょう。100日プランで実行すべきPMIの主要項目はすべて大切ですが、なかでも従業員のモチベーションに直結する「社内制度」と「企業文化」の統合は特に注意して行う必要があります。

経営者の中には、期間の短縮を目指すあまり、PMIを進めるスピードを速めてしまうケースが多々あります。勢いを止めないことは有効ですが、スピードを速めすぎると従業員がつい来られず混乱が生じてしまう可能性も。そうなると、信頼関係は築けません。

あくまでも企業を動かしているのは「人」である、ということを忘れずに、誠意ある対応を心がけましょう。

 

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【M&A失敗事例】失敗しないために気をつけることは?M&Aを成功に導くアドバイス

 

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