正しいPMI講座

M&Aはどのくらいの期間がかかるもの?期間を短くするコツやメリットなども解説!

2021/08/18正しいPMI講座

合併と買収(Mergers and Acquisitions)を意味するM&A。近年ますます注目を集めており、日本国内における成約件数も増加しています。

事業拡大などを目的にM&Aを検討する経営者の方も数多くいらっしゃいますが、検討時に気になるのが「M&Aはどのくらいの期間がかかるのか」という点ではないでしょうか。全体のスケジュール感をイメージするためにも、おおよその期間は把握しておきたいですよね。

また、「成約までの期間をなるべく短縮したい」といった要望を持っている方も多いはず。そこで本記事では、M&A成立までにかかる期間や、期間を短縮するコツ、それにより生じるメリットなどを解説していきます。

 

1.M&Aにかかる期間について

ちなみに、ここでいう正式プロセスとは、M&A仲介会社に正式依頼してから、クロージングまでの期間を指します。

M&A一連の流れは、【準備段階】、【企業分析〜交渉】、【交渉〜最終契約】のフェーズに分類されます。準備から最終契約までで、おおよそ半年〜9ヶ月程度、交渉が難航した場合や相手企業とのマッチングがスムーズに進まない場合はさらに時間がかかってしまいます。

そのためM&Aにかかる期間は、「早くて半年、長くて1年以上」とイメージしておくと良いでしょう。もちろん、この期間には仲介会社の検討やM&Aを実施するかどうか、といった事前準備は含んでいません。検討内容によってはさらに期間がかかる可能性があることを念頭におきましょう。


【準備段階】
・仲介会社への正式依頼
・秘密保持契約、連携仲介契約の締結
・スキームの作成

【企業分析〜交渉】
・M&A提案先の選定
・ノンネームシートの提供、検討
・ネームクリア(売り手)

【交渉〜最終契約】
・トップ(経営者)面談
・価格、条件交渉
・基本合意書の締結
・デューデリジェンス(買い手)
・最終契約書の締結
・クロージング


>>M&Aの一般的な流れについては、以下の記事で詳しく紹介していますのでぜひ合わせてご覧ください。
【M&Aの一般的な流れや進め方を解説!検討〜クロージング・PMIまで】

 

2.M&Aの期間が短くなる理由と【メリット】

M&Aの期間が短くなる理由として挙げられるのが、以下の通り。

・売り手企業、買い手企業ともにM&Aの目的が明確化されていた
・売り手企業と買い手企業のニーズが合致していた
・売り手企業の事業内容や規模をあらかじめ知っていて、イメージしやすい状況にあった
・買い手企業の「どうしても早く買収したい」という思いが強かった(取得ニーズが強い)
・買い手企業側にM&A経験が豊富で、取引や手続きに慣れていた
・検討段階から交渉に必要な書類を用意していた
・あらかじめ期間を想定して手続きを進めていた

このなかでも「目的を明確化できているかどうか」は、M&Aの期間を左右する重要な項目です。この軸がブレていると、ニーズに合っているかどうかなどの判断がつきにくい上、交渉も時間がかかってしまうでしょう。

M&Aは企業間同士の取引ですので、どんなにスムーズに進めようとしても相手によって交渉が難航してしまうことがあります。

しかし、「あらかじめ期間を想定して、手続きを進める」「目的を明確化する」ことで、期間を伸ばさずスムーズな取引ができる可能性はグッと広がります。M&Aは決算書類や契約書など、さまざまな資料が必要となりますから、検討段階からこのような資料準備を進めておくことも、期間短縮に有効でしょう。

期間短縮のメリットは?

M&A期間を短縮することで生じるメリットは、以下の通りです。

・M&Aにおいて生まれるシナジー効果を早く得られる可能性がある
・業界動向に影響されるリスクを軽減できる
・情報漏洩といったリスクを軽減できる

M&A期間の短縮とはつまり、企業の買収や統合なども早まることになります。M&Aにおける手続きはクロージングで終了ですが、結果が出るかどうかはその後の経営統合(PMI)プロセスが非常に重要です。

しかしM&Aにかかる期間を短くすることで、場合によってはM&Aに生じるシナジー効果をスピーディーに享受できる可能性もあるでしょう。

また、期間を短縮することは、業界動向に影響されるリスクも軽減できます。市場や業界の動向は日々変化し続けるもの。1年以上かかってしまえば、「成果を上げられなかった」「検討当初は魅力的な企業だったが、市場動向の変化によりM&Aが無駄になってしまった」という可能性も。

期間が長引くと、それだけ情報漏のリスクなども生じやすくなってくるため、動きが察知される前にスムーズに取引を成立させておくと安心できます。

 

3.M&Aの期間が長引く理由と【デメリット】

 

M&Aにおける期間は、長いと1年以上かかってしまうことも。期間が長引く理由は一体どこにあるのでしょうか?

期間が長くなる理由として挙げられるのが、以下の項目です。

・M&Aの目的が明確化されていなかった
・売り手企業の規模が大きかった
・売り手企業側の利害関係者への同意を得るために時間がかかっている
(株主の同意や、仕入れ先・取引先の事前承認など)
・買い手企業側の利害関係者への同意を得るために時間がかかっている
(大企業や上場企業の場合は、経営会議や取締役会などの手順を踏む必要がある)
・組織再編行為(会社分割や合併など)を伴うスキームのため、手続きに時間がかかった
・事業譲渡で許認可の新規取得などが必要になった
・あらかじめ期間を想定して手続きを進めていなかった

M&Aの手続きはスキームによって異なります。株式譲渡であれば比較的スムーズに手続きは行えますが、事業譲渡はあらゆる資産の譲渡になる上、許認可を再取得する必要が出てきます。

また、企業規模が大きければ大きいほど、株主の同意や取引先の事前承認、経営会議や取締役会などを経て進める必要が。会社分割・合併をはじめとする組織再編行為においても、債権者保護手続きなどが必要となるため、時間がかかってしまいます。

M&Aは会社経営を左右する大きな事象ですから、さまざまな手続きに時間・手間がかかってしまうのは仕方のないことでもあります。しかしながら、M&Aの目的を明確化し、あらかじめスケジュール感を意識し、必要な書類やそれに関する知識を得ておくことは期間短縮に効果的でしょう。

ここで注意しておきたいのが、「短縮」を目指すあまり確認がおろそかになってしまうケース。特にデューデリジェンスは、売り手企業の財務や法務、人事など最終判断を下すための調査を事細かく行う必要不可欠な工程です。

M&Aを成功させるためにも、最短かつ適切なデューデリジェンスを行えるように事前準備を徹底しましょう。

期間延長のデメリット

M&A期間を延長することで生じるデメリットは、以下の通りです。

・M&Aの動きが従業員や取引先に伝わり「情報漏洩」が起きてしまう
・情報漏洩により、従業員のモチベーションが低下したり、退職者が出たりする
・取引先に不信感を与えてしまう
・市場や業界の動向が変化してしまった

特に注意しなくてはいけないのが、情報漏洩です。M&Aは企業同士の情報を開示して行うため、情報の取り扱いには細心の注意を払わなくてはなりません。

もちろん互いに秘密保持契約などは結んでいるものの、取引が長引けば長引くだけ従業員や取引先、業界などに動向が伝わってしまうリスクは高まってしまいます。

 

4.まとめ

M&A成立までにかかる期間と期間短縮のコツおよびメリット、期間延長になる理由と生じるデメリットについて紹介いたしました。この記事の内容をまとめると、以下の通りです。


【M&A成立までの期間まとめ】

・M&Aにかかる期間は、半年〜1年程度が一般的
・企業規模やスキームによってはさらに時間がかかる場合があり、企業規模が大きいほどその傾向にある
・どんなスキームだとしても、検討段階で「M&Aの目的を明確化」するほか、「必要な資料の準備」「M&Aの知識を身につけておく」と期間短縮に効果的
・期間を短縮することで情報漏洩などのリスクを回避できるほか、シナジー効果を早く得られる可能性がある
・期間が延長すると情報漏洩のリスクが高まるほか、市場や業界の動向が変化してしまう


短期間でM&Aを進めるメリットは複数ありますが、期間を短くすることに囚われすぎるとM&A後に不足が生じてしまう可能性も。

とくに最終契約前に行われるデューデリジェンスは、企業の真価を確認する非常に重要な工程です。リスク回避のためにも、最短かつ適切なデューデリジェンスを行えるように事前準備を徹底しましょう。